2025年8月期 特集

2025年8月期 特集
  

急速に変化する事業環境のなかで、当社が取り組む中期的な経営課題をご説明します。
ゲーム領域における競争力を高め、非ゲーム領域で新たな事業の柱を確立し、さらなる持続的な成長を実現してまいります。

        

1/これまでの業績推移の振り返り

  

増収増益傾向で推移、2025年8月期は売上・営業利益ともに直近15年で最高を達成しました。
 中期的にさらなる業績拡大を目指してまいります。

 当社はこれまで、開発人財の増強や開発技術力の向上、開発プロセスの効率化などの課題に取り組んできたことで、業績は売上・営業利益ともに拡大傾向で推移してきました。
 2020年8月期頃まではスマートフォンゲームの開発・運営において売上・利益が伸長しましたが、市場競争の激化に伴い2021年8月期頃から新規スマートフォンゲームの開発依頼に減少が見られ始めました。当社では、スマートフォンゲームの開発・運営に従事していた開発人財を、徐々に家庭用ゲーム機向けソフトの開発にも対応できるようシフトさせ、家庭用ゲーム機向けソフトの開発に比重を移しつつ、開発技術の向上や知見の蓄積に努めてまいりました。
 2024年8月期は、次世代ゲーム機が発表される前の端境期となり、また当社においても開発トラブル等が重なったことで業績が一時的に落ち込みました。 しかしながら、開発技術力の強化を地道に進めてきたことで、2025年8月期は、2009年8月期以降16年ぶりに売上60億円を突破し、売上は過去最高、営業利益は直近15年で最高となりました。
 2026年8月期は一時的に減益の予想ですが、中期的にさらなる業績の拡大に努めてまいります。


        

2/変化する環境のなかにある、成長機会

  

当社を取り巻く事業環境における重要なポイントをご説明します。

コンテンツのマルチメディア化、クロスプラットフォーム化

 コンテンツがプラットフォームの枠を超えて展開される流れが拡大しています。人気のゲームシリーズが別ストーリーで映画化・舞台化されたり、ライトノベル原作のイベントがテーマパークで開催されたり、例を挙げるときりがないほど多様なパターンがあります。また価値観も多様化し、新しいものだけでなくレトロな題材も注目を集めています。こうしたトレンドから、ユーザーの裾野が広がり、ユーザーとコンテンツの接触機会が多様になる一方、ひとつのプラットフォームに割かれる時間は減少しています。また、題材を追求したクオリティの高いコンテンツが求められ、戦略の重要性が増しています。


テクノロジーの進化

 ハード・ソフト両面での技術革新が加速しています。スマートフォンの普及がEC(インターネット上での通信販売)の拡大に大きく影響したように、今後のテクノロジーの進化が、これまでにないコンテンツやサービスの創出を促していきます。同時に、業務プロセスや働き方、職場環境も大きく変わっていくことが予想されます。AIの活用などによって、業務の自動化・短縮化が想像を超える水準で進めば、よりクリエイティブな業務や、成長施策のために時間を割くことが可能になります。さらに社会全体の余暇時間が増加すれば、当社の製品・サービスの需要拡大にもつながります。


グローバル市場のさらなる成長期待

 成長を続けるゲームのグローバル市場では、NintendoSwitch 2 や、今後登場予定の次世代機の普及によって、さらなる盛り上がりが期待できます。また、コンテンツのマルチメディア化、クロスプラットフォーム化はグローバルで作用しており、ゲーム以外のデジタルエンタテインメント市場も一層多角的な拡大が予想されます。そのようななか、日本は世界的に人気の高いIPを多数生み出し、圧倒的なコンテンツ品質でも高い評価を得ています。2025年6月に経済産業省が発表した「エンタメ・クリエイティブ産業戦略」では、日本のコンテンツの輸出額20兆円を目指す100のアクションプランが策定され、成長産業として注目が高まっています。

※Intellectual Property:コンテンツやキャラクター等の知的財産



        

3/事業基盤を増強し、成長機会を捉えたビジネスの拡大、収益性の向上に取り組む

  

経営課題を4つに整理し、それぞれの取り組みを相互に作業させながら持続的に成長し、企業価値を向上させてまいります。



    
ゲーム領域での事業成長と収益性の向上
高性能プラットフォーム向けゲームやリメイクタイトルなどの開発を主軸に優れた企画提案と堅実なコンテンツ開発力を強みとして、既存・新規、国内・海外問わず、より多くのクライアントから選ばれるパートナーを目指します。
今後より注力してのばしていきたいポイント
近年の成功例・取り組み例
  • ● テイルズオブグレイセス エフ リマスター (株式会社バンダイナムコエンターテインメント) ● クライシスコア ファイナルファンタジーVII リユニオン
    (株式会社スクウェア・エニックス)

    PlayStation®5、Nintendo Switch の両方に対応し、遊びやすさも好評。

  • ● SCARLET NEXUS(スカーレットネクサス)
    (株式会社バンダイナムコエンターテインメント)

    株式会社バンダイナムコスタジオと共同開発した完全新規IPのアクションRPGタイトル。

  • ● 未発売・開発中タイトル 複数進行中
非ゲーム領域での事業成長と収益性の向上
社会の課題やニーズを捉え、当社の開発技術やノウハウの応用力、コラボレーションの企画力を活かしたマーケット・イン・アプローチで、ゲーム以外の幅広い領域での新しいビジネスの創出に取り組んでまいります。
既存のクライアントや、既にビジネスを展開している市場を超え、より広い領域の課題やニーズを捉える
①の調査で発見した、社会や環境起点の課題へのソリューションとなる製品やサービスを、蓄積した開発技術やノウハウを活かして考案する。
開発する製品やサービスを、同じ課題やニーズを持つターゲットに対して広く展開する。ターゲットからのフィードバックを受け、製品・サービスをさらにアップデートする。


リソース面での経営課題
開発技術の継続的な高度化、生産性の最大化

研究機関の拡充と社内展開の強化により、AIを含む最先端技術やハイエンド開発への対応スキルを継続的に取り込む。

AI活用やDX推進で業務を効率化し、クリエイティブ業務や、成長施策の時間を拡大。

各職種、各スタッフの専門性、開発キャパシティを引き上げ、大規模で難度の高い開発に挑戦できる人材・チームを拡大。

人的資本の拡充、組織の最適化

社内教育の充実とキャリア採用の強化による、開発人材の質アップ。

職場環境、キャリア形成、報酬・評価制度など多面的な施策を通して従業員エンゲージメントを向上。

長岡京新オフィスビルを活用し、クリエイティブな開発を促進する環境の構築、柔軟で活力ある組織体制への転換。



    


従業員エンゲージメントの向上を目指し、2025年1月よりエンゲージメントサーベイを導入しました。

導入の背景
  

当社はこれまで、従業員が自身の職場を推奨する度合いを測るeNPS調査を実施してきました。その調査の結果、特に「報酬」「キャリア支援」「評価」の項目が職場の推奨度に大きく影響していることが明らかとなり、継続的なベースアップや評価・報酬体系の見直しを重ねてきたことで、一定の改善効果を得ることができました。
 一方で、従業員エンゲージメントをさらに高め、持続的な組織成長を実現するには、従業員の意識・行動・職場環境を、より多面的かつ精緻に把握する必要があることも明らかとなりました。こうした背景から、今回新たにエンゲージメントサーベイを導入することといたしました。
 なお、国内外の研究において、エンゲージメントの向上が離職率の低下だけでなく、利益率・生産性の改善や顧客満足度の向上にも直結することが確認されています(下図参照)。当社においても、このサーベイを単なる調査にとどめるのではなく、従業員が「働きがい」を実感しながら最大限の力を発揮できる環境づくりにつなげてまいります。



※上図のデータは株式会社リンクアンドモチベーションと、慶應義塾大学ビジネス・スクール岩本研究室の共同研究成果です。


エンゲージメントサーベイの結果から見えた課題と今後の施策



京都府長岡京市に有するオフィスビルの建替えを計画しております。

建替えの背景と意義

 コロナ禍を経験し、当社では改めて、継続的な開発技術の向上や、ユーザーの期待に応えるゲームやコンテンツなどを生み出すためには、活発なコミュニケーションや情報交換がとても大切であると感じています。長岡京市に所有する2棟のビルが老朽化しているこの機会を捉え、よりクリエイティブで多様な働き方の推進ができる開発拠点を作り、職場環境を向上させてまいります。現在、建設に係る様々な計画を進めておりますので、詳細が決まり次第、改めてお知らせいたします。

新オフィスビルの概要(計画)

今後のスケジュール(予定)